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田誠さんインタビュープロカツ

  1. スポーツ記者という仕事 ~やりがい、プロとしての姿勢~

田誠さんプロフィール

スポーツ記者という仕事 ~やりがい、プロとしての姿勢~

長宗:今日はよろしくお願いします!

田:はい、よろしくお願いします。もう煮るなり、焼くなり(笑)

長宗:スポーツ記者という仕事は具体的にどんな事をするんですか?

田:新聞社の中には色んなセクションがあります。 通常、運動部・スポーツ部と呼ばれているところに所属している記者が、 スポーツの記事を書きます。 僕がやった仕事で言うと、例えば野球担当の記者で“番記者”と言われるんですけど、 巨人担当だったら、一年中巨人のチームを追いかけるんです。 試合は一年中見ますしね。今は2月なんで、宮崎まで巨人のキャンプ取材に行って、 1ヶ月間宮崎で生活するんですよ。密着です。 例えば、監督が朝散歩するなら、僕も一緒に散歩して。 そういう所から1日が始まって、夜も練習していたら、その練習も見に行って、 とにかくもう、ずっとチームと一緒にいるんですよ。 そこでは、各担当があって、監督なら監督の担当がいて、 選手だったら、例えばゴジラ松井の番記者がいたりね。

長宗:日刊スポーツの記者の方以外にも、 色んな会社の方が密着しているんですよね?

田:例えば巨人だったら、キャンプ中はだいたい 毎日300~400人くらいの取材陣がいるんですよ。競争ですよね。

長宗:そういった中で、どういう手順で取材をするんですか?

田:取材の仕方は色々あって、 取材申請の申し込みをしてOKを貰う取材もあれば、 フリーの状態で追っかけて行く取材もあったり。 あとは、古い言葉で言うと、“夜討ち朝駆け”という言葉があって、 つまり、夜は家とかに行ったりして、朝は早朝に取材に行くという。 長嶋さんはスゴい早起きで、朝は必ずジョギングをするんですよ。 そこでちょこっと話を聞き出すというような事もやってました。

長宗:生活全てがスポーツ記者という感じなんですね?

田:まぁ、そうなりますよね。だから、家族といるより、 担当チームの選手や監督達と一緒にいる時間の方が長くなりますね。

長宗:スポーツ記者の方ってお休みはどうなっているんですか?  土日はお休みなんですか?

田:それは担当によってですね。 逆に土日ってスポーツをいっぱいやってるんで、出ずっぱりって感じですよね。 年末年始も一杯やってるんで。 だから紅白はもう何年も観てないですね、大晦日もバトルやサッカーがやってるので。

長宗:現場の記者をどれくらいの期間やられていたんですか?

田:僕で言うと、現場の記者は17~8年やりましたね。 野球とサッカーを中心に。今は管理職をやっているんですけど、 希望してずっと現場にこだわっている人もいますね。

長宗:今は現場の方へはあまり行かれないんですか?

田:今も時々は行きますよ。

長宗:やっぱり現場に行く仕事の方が楽しいですか?

田:それは楽しいですよ! 例えば、一昨年の北京オリンピックの代表選考会の試合にも行ったりして。 たまに現場の空気も感じておかないといけないですからね。 ずっと会社にいるとストレスも溜まりますから(笑)

長宗:生でゲームを観れたりして、スポーツ好きの人にはたまらない仕事ですね。

田:それはもう本当に、この仕事の役得というか。 例えば野球だったら、年間150試合とか観るわけですよ、シーズン中は。 それを我々は入場料も払わずに観ているわけで(笑)そういう意味では特権ですよね。 大リーグも行けるし、オリンピックも行けるし、ワールドカップも行けるし。 ちなみに、僕はイチローの担当もした事があるんですけど。 メジャー1年目はずっとアメリカに居て、イチローの試合を半分以上観ましたからね。

長宗:スポーツ記者のやりがいはどんな時に感じますか?

田:自分の書いた新聞が原稿に出ますよね。 それを電車に乗って、となりの人が読んでたりすると、不思議な感じというか・・・(笑)

長宗:スポーツ記者として心がけていたことはなんですか?

田:ライバルがいる中でいかに食い込めて、密着できるかですかね。 あとは紙面の差別化を図ったりすることですね。

長宗:納得できる記事が書けるようになるまでどれくらいかかりましたか?

田:いや、ゴールはないですね。 結局書いた記事はその日になくなって、翌日はゼロですからね。 同じ商品は出ないですから。

長宗:スポーツ記者の醍醐味をどんな時に感じますか?

田:やっぱり、後々振り返ったときに歴史的な場面やシーンに、 一番近い距離で我々スポーツ記者は触れられるので。 それはこの仕事の魅力になると思いますね。 例えば、イチローのメジャー初ヒットのセンター前を たまたま僕はその場で観る事が出来たとかは、 なかなか普通の人には出来ない経験ですよね。 それは大げさに言えば、スポーツの枠を超えた歴史的な瞬間だったりしますからね。