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田誠さんインタビュープロカツ

  1. 田さんが現場で学んだこと、そして今だから笑って話せる失敗談・・・

田さんが現場で学んだこと、そして今だから笑って話せる失敗談・・・

長宗:仕事の現場で、監督や選手達から、影響を受けたことはありますか?

田:選手や監督から学ぶ事は一杯ありますね。共感したり、考え方に感銘を受けたり。 サッカーでいうと、川淵さんという前の日本協会の会長がいて、 喋っていると、あの人の生き方とか考え方とかは、凄い参考になるし。 そういう事は沢山ありますね。

例えば、組織とリーダー論など、参考になりました。 企業(組織)には、ビルドアップという考え方が必要で大事だが、 ドラスティックに会社や組織を変える時には、トップダウンも必要だと。 Jリーグを作り上げた頃のお話は、非常に勉強になりましたね。
川淵さんの人生は山あり谷ありで、現役選手として日本代表のエースになり、 さらに代表監督まで務めた人が、40代の頃は、会社で一時期、冷遇された話を 何度も聞かせてもらいました。でも、そこから、はい上がって、 日本協会のトップとしてサッカー界を引っ張ってきた歩みは、生き様として 感動しましたね。

長宗:記者人生で印象に残っている失敗談はありますか?

田:失敗は沢山ありますよ。 96年に、『ニュースステーション』に出たことがあって、 そこで日本シリーズの第一戦の先発投手の予想をしたんですけど、 そこで僕は大誤報を言ってしまったんですよ。予想が外れて。 それで、翌日から会社で笑い者ですよ。「誤報記者、誤報記者」と呼ばれまして(笑) 僕としては凄い恥ずかしい記憶なんですけど、 ある時、うちの若い記者に、日刊スポーツに入った理由を聞いたんですけど、 そうしたら、学生時代に僕の出ていたその『ニュースステーション』を見て、 「スポーツ記者はこんな事をしているんだ、面白い」 と思って入って来たというんですよね。 それで、その彼がいま僕と同じ部署にいるんですけどね(笑)

長宗:仕事が嫌になったりすることはありますか?

田:それはありますね。 厳しい上司がいたり、言う事を聞かない後輩がいたりしますからね(笑)

長宗:仕事に対するモチベーションの上げ方ってあるんですか?

田:飲んで騒ぐとかですかね(笑) 例えば昨日なんかは、朝青龍の問題がずっと続いていたのが、 ようやく一段落したので、(※取材日は朝青龍引退の翌日) 相撲班のみんなと軽く飲みに行ったりして。 スタートは1時半でしたけど。“ノミ(飲み)ニケーション”ですよ(笑) でも、そういう時間が大切ですからね。
学生も教室だけじゃ、相手の人とナリって分からないじゃないですか。 カラオケに行って、選曲とかで「こういう人なんだ」って、 その人が分かったりするじゃないですか。

だから、取材対象者ともそういう関係になってきて。 後々、家族ぐるみの付き合いになったりした監督とか選手とかっているんですよ。
それは、政治家と番記者が仲良くなって、そのまま政治家に転身する新聞記者の 人もいますからね。我々の世界でも、そのまま会社を辞めて球団の職員に なったりする人間も一杯いますよ。

長宗:スポーツ選手の中には気難しい人もいるとは思うんですけど、 そういう時の、田さん流のコミュニケーション術はあったりしますか?

田:例えば、もう引退しましたけど清原和博という選手がいましたよね。 清原さんは選手時代、マスコミと上手な関係を築いた訳じゃないというか、 どっちかというと、ほとんど喋らないタイプだったんですけど、地道に接しました。 「朝、誰もいない所で練習している」なんていう情報を聞いたら、 何をするわけでもないんですけど、毎日そこへ行くとか・・・ それが積み重なって、ある程度話せるようになったり。 それは、1日2日の事じゃないですよね、1年2年とか。 まぁ、ずっと続けてもダメな人はダメですし、色んな人がいますよね。

あとは中日の落合監督が巨人の選手時代、僕が担当だったんですけど。 キャンプ中、あの人は毎日球場から歩いて帰るんですよね、 それには毎日付き合いましたよ、一緒に。シーズン中も、家から東京ドームまで 車で行くときも、毎日一緒に乗っていきましたけど。
それでも、特ダネをくれた事は一度もありませんけどね(笑) こっちもすぐに何かを要求しても仕方が無いんで。でも、今も中日の監督を やっていて、たまに行くと勿論、僕のことを知ってくれているわけですから。 こういう関係っていうのは、どこかで活きてくるのかなって思いますね。