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ズバリ!スポーツ記者に向いている人とは!?

長宗:この『プロカツ』はこれから就職活動をする大学生に向けたコンテンツなのですが。どんな人がスポーツ記者など、報道系の仕事に向いていると思いますか?

田:僕も面接官とかもやっていたので、1日で200~300人とかの学生さんを面接したりするんですけど。やっぱり好奇心がある人はこの業界に向いていると思いますよ。テレビの緊急ニュースに反応しちゃうタイプの人とか・・・あとは、気持ちの切り替えが早い人ですかね。
「昨日の事はもう忘れちゃったよ」くらいの事を言える人とかね。上司に怒られる事もあるとは思いますけど、大体上司は怒る動物ですからね。それでションボリしちゃうとマズイですよね。

長宗:真面目な人が向いているとは限らないんですね。

田:僕らの仕事も、本当に真面目で仕事だけでいいのかって言ったら、それは「どうなのかなって?」思いますよ。それは、野球選手も政治家も一緒だと思うんですけど、相手がその記者に対して魅力を感じないと、やっぱり付き合いが発展しないじゃないですか。「つまんない奴だな」と思われたらアウトなわけで、「こいつバカだけど面白いな」とか、そういう部分が大事なわけで。結局、一緒に遊んだりっていうのは一つの接点が出来るわけで、向こうだって覚えているし。そういうのが入口になるっていうケースは多いと思いますよ。そういう意味でも、僕なんかは学生時代に一杯遊んだ人の方が魅力を感じますね。

長宗:色んな事を経験したり、知っている学生の方が向いているんですね。

田:やっぱり、「何も知りません」じゃねぇ。何も知らない人に対して新聞売る訳じゃないんで。
特にスポーツ新聞というのは、ある種、娯楽という部分が大切なので。趣味の範囲が広い方がいいですよね。

長宗:日刊スポーツにはどんな人が面接を受けにくるんですか?

田:基本的には優秀な人が多いですよ。向き不向きってのは別だと思いますけど。
あとは、スポーツ新聞に関わらず一般の新聞も同じだと思いますけど、必ずしも、希望の部署に入れるかは分からない。政治記者になりたい人が、社会部に配属されることもあるだろうし、スポーツ新聞に来ても、「僕はサッカーがとにかくやりたい!」と言って来る学生さんは非常に多いんですど、サッカーの記者になれる社員なんていうのは、入社した同期の一人とかしかなれないんで。「それじゃイヤです」とかなっちゃって、自分で間口を狭めちゃうと、自分で損するんで・・・そこは大きなポイントかも知れませんね。
うちの会社にもいるんですけど、記者志望で入って来たんだけど、「カメラの方が面白い」って言って、そのままカメラマンになったり。経理みたいな部署から新聞とは離れた部署からカメラマンになった人もいます。

長宗:やっぱり好奇心旺盛に色々とチャレンジする人がこの業界に向いているんですね。

田:そうですね。あとは、やっぱり自分の足で動ける人ですね。僕らは「足で稼ぐ」ってよく言うんですけど、やっぱり足で動ける人っていうのは強いと思いますね。今は調べる作業が、ネットで検索できるんで、凄い簡単になったんですけど。でもこれは裏返しで、皆自分で調べる作業が出来なくなっているんですよ。まぁ、これはマスコミ全体が抱えている問題なんですけど・・・だからこそ、自分の足で稼いできた情報というのは、「これから逆に強くなっていくのかな」と思います。

長宗:新入社員の方には、そういう部分に関して厳しくしているのですか?

田:そうですね。例えば、何かの原稿を書けって指示して、「どうやって調べたんだ」って言ったときに、「ウィキペディアです」ってなったら、もうアウトですよね。「それは調べたんじゃない、見ただけだろ」って。そういう話はよくしますね。

長宗:日刊スポーツが、他の新聞社とは違う部分はありますか?

田:今は新聞・スポーツ新聞ばかりに頼っていられない時代なので、例えばホームページのような媒体、うちでいえば『nikkansports.com』があるんですけど、そういう新しいモノに取り組んでいこうという、フットワークの軽さはある会社だと思います。
あと、外から見ている人からは「真面目、堅い」とは言われますね。逆に言うと、記録とか、スポーツには記録が大事で、その記録に対する信頼度とかは伝統的に受け継がれていますね。

長宗:なるほど。話は少し変わりますが、学生って社会人になることに前向きでない人も結構多いのですが、田さんにとって“働く”とは、どういうことですか?

田:それは、日々楽しい時間を過ごすために必要なこと。だって会社をクビになったら暇になっちゃうでしょ、暇ほど苦痛はありませんからね。
勿論、問題が生じたり体調が悪くなったりもありますけど、基本的に、好きな仕事をしている分には楽しいわけでしょ。うちの奥さんなんかは「あんたは幸せね」って言うわけですよ。好きな仕事をしているから。だから働くっていう意識がないですよね。「野球観てお金貰っていいのかな?」って思いますからね。出張もあっちこっち行くわけだし、会社のお金で(笑)。だから昔は、2月ってほとんど東京にいた事が無いんですよ。毎年キャンプで東京を離れてるんで、2月の東京を知らなかったんですよ。宮崎とか、沖縄とか、アメリカとか行ってたんで、だいたい1ヵ月間。東京が暖かくなった頃に帰ってくるんです。

長宗:いい生活ですね(笑)

田:シーズン中も、チームと一緒に色んな遠征に行くんですよ、同じ新幹線や飛行機で。旅芸人みたいに(笑)

長宗:今はちょっと寂しいんじゃないですか?

田:そうですね、今はもうツマんなくて・・・ 毎日会社にいるんで(笑)

長宗:田さんの今後の展望などはありますか?

田:まぁ、やっぱり現場の記者はもう一度ちゃんとやりたいですね、僕らは選手と違って引退は無いから、いつでも現場の記者に戻れるんで。例えば、大リーグなんかはその球団一筋35年とか、そういう記者が沢山いるんですよ、AP通信とかには。そういうのはいいなぁと思いますけどね。憧れですよ。

インタビュアー

インタビュアー感想談

ためになるお話をたくさんお聞きして、大変興味深かったのですが、印象的だったのは「スポーツ記者は足で稼ぐ」という田さんのお言葉です。今日までの仕事に誇りを持ち、堂々と表現していると感じました。私も将来、田さんのように自分の仕事について自信をもって語れる人になりたいです。