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堀彩子さんからの"現場の声"

  1. 出版社は24時間灯りが消えないオフィス

プロフィール

出版社は24時間灯りが消えないオフィス

橋口:堀さんは、講談社内でどのようなお仕事をされているんですか?

堀:私は文芸局の書籍の出版部という所にいまして。文芸書というのは 小説の事なんですね、ノンフィクションとフィクションがある中で、 ノンフィクションは学芸というんですけど。
小説の中にも文庫本とかの形がありますが、私はハードカバーの本を作るという セクションにいます。
小説家の方を担当するという形で、その担当の作家の本を出すというのが 主な仕事ですね。

橋口:どんな方を担当されているんですか?

堀:そうですね、浅田次郎さん、石田衣良さん、奥田英朗さん、小池真理子さん、松井今朝子さんなどですね。あとは、2、3年前に「一瞬の風になれ」という本も 作りました。そんな仕事をしています。

橋口:堀さんは、一日どんなスケジュールを過ごしているんですか?

堀:実は昨年出産をして、育児休暇を明けて復職したところなんですよ。 その出産前と今とで、全然スケジュールが違うんです。 今現在は時短という形で、朝10時から夕方16時までの育児時短という勤務を 3月一杯までしている時期なんですよ。

なので、今のスケジュールは参考にならないんですが、 出産前は大体朝11時位に出勤しまして、そこから割と夕方以降にかかる仕事が 多いんです、人と会ったりだとか。

あとは、文学賞のパーティーみたいのがちょこちょこあるんですけど。 そういう仕事って大体、夜なので、そういう所に夕方から出かけて行く という感じですね。通常、電車が無くなる位の時間まで仕事をするっていうのが 普通でしたね、夜中の2時だとか。

橋口:家庭との両立は大変でしたか?

堀:結婚で大変になったという風には全然感じなかったんですけど、 子供はやっぱり大変ですね。今もまだ手探りで、まだ(子供が)小さいので(笑)

橋口:講談社の社内はどんな雰囲気なんですか?

堀:あんまり会社っぽくないって言ったらアレなんですが・・・ それはきっとテレビ局とかマスコミの会社には共通しているかもしれないですけど、 服装も自由だし、定時の雰囲気が営業部以外無いので。
編集者は夕方会社に来る人もいれば、朝帰って行く人もいるみたいな。
だからそういう意味では、雰囲気的に自由な感じがあるのかなと思いますけど、 逆に言うと24時間、会社の灯りが点いていたりして、 不眠不休な感じの面もありますね。

橋口:締め切り前などは特に忙しくなるんですか?

堀:一番大変なのは雑誌なんですよね。 雑誌って発売日が決まっている関係で、締め切りが動かせないので、 そこで徹夜をしている人が最も多いですね。

書籍は、わりと自分のスケジュールが読めるというか、組み立てられるので、 緊急出版みたいな事をしなければ、死ぬほど大変な事にはならないんですけど、 時々、何冊も重なったりして、そういう大変さはありますけどね。

橋口:作家の方は皆さん締め切りを守られて…

堀:皆さんがそうというわけではないですよね(笑) そこは皆さんそれぞれで、きちんと守ってくださる方もいれば、 相当こちらが一生懸命やらないと…という方もいて(笑)。
小説って本の形で、書店で見て頂く事が多いと思うんですけど、 本になる前に、文芸雑誌で連載されている物が結構あるんですね。
私はちょっと前までその雑誌の編集部にいたんですけど、そこでは締め切りに 間に合うように原稿をいただくのが大事な仕事です。

橋口:作品が出版されるまで、他にどんな作業があるんですか?

堀:あとは人によるんですけど、歴史小説とか時代小説の様な、取材が必要な小説が あって、その取材の手配をしたり同行したりという仕事もやりますね。

橋口:小説の取材ってどんな事をするんですか?

堀:一番、多いのは舞台となる土地に行ってみるという事だったりですね。 海外を舞台にした小説や、国内の時代小説もそうなんですけど、現地に行くと、 手に入らない史料があったりするんですよ。
郷土史みたいな所に出ているちょっとしたエピソードみたいなのって、 全然知られて無かったりして、凄く小説に活きてきたりしますし。 小説って誰でも知っているエピソードだけ書いてる訳にもいかないので、 そういうエピソードを探しにいくみたいな作業ですね。

そういう時代背景を見に行く作業が一つと、あとは、メインの目的では 無いんですけど、現地で写真を撮ってくると、それがポスターに使えたりするので カメラマンを同行して撮影をしてくることがあります。 万里の長城で撮っておくと、単行本を出す時にそれでポスターが作れるとかですね。