WonderNotes 可能性を可能にするポータルサイト ワンダーノーツ

ネクスエンタテインメント・佐藤博久さんプロカツ

  1. 仕事の楽しさは"奇跡を見る事"

仕事の楽しさは"奇跡を見る事"

中谷:佐藤さんがこの業界に入ってから影響を受けた人はいますか?

佐藤:いつのタイミングの話っていうのもありますが…私も今年で55なので、自分よりも若い経営者から影響を受ける度合いが大きくなっています。ここ10年で見れば、MTIという携帯コンテンツ会社の前多さんという社長ですね。僕らも天才と呼ばれる人は沢山見てきましたけど、この人以上はいないんじゃないですかね。

中谷:どういう所が?

佐藤:多分、普通の人は理解出来ないと思うんですけど(笑)常識に捉われないし、徹底してやる人ですよ。会社で良いボスと仕事をして楽しい事は何かと言うと、私からすれば“奇跡を見る事”だと思うんです。奇跡ってなかなか見られないじゃないですか?私はうちの親父の下で、そういう奇跡を何回か見たんですよ。

例えば、“トランスフォーマー”のヒットもそうだったし、あなたの世代でもギリギリわかりそうな商品で言えば“フラワーロック”も。そういった、いくつも「えっ」って思う様なものが、世界的に大ヒットするという奇跡を見てきたんです。うちの親父は私より30歳上なので、自分より年齢が上の人が起こした奇跡じゃないですか。でもそれって、自分でも出来る可能性がある訳ですよ、30年経てばそうなるかもしれないから。
でも、前多さんは私よりも10歳下なので、10年前の自分と比べる訳じゃないですか。ですから、自分よりも若くて優秀な経営者のそういう成功や奇跡を見るというのはやっぱり最高に楽しいですね。

~ここから佐藤さんの仕事に対するスタンスについて話が展開~

佐藤:他の人からもよく「そんなに色々な仕事をして、どういうスタンスで仕事を選んでいるんですか?」と言われるんです。そこで僕は「まぁ、ドラえもんみたいなもんですね」と答えるんです。ドラえもんは自分で宇宙旅行をしたい訳じゃないんです。ドラえもんじゃなくて、のび太くんがしたいんですよ。のび太くんがしたい事をドラえもんは手伝っているだけなんです。ドラえもんが自分で「何かしよう」って、のび太くんを引っ張って行った事は一度もないんです。
私は社長とNO.2はそういう関係が一番理想的だと思っています。社長はのび太くんなんです、色々なやりたい事があるので。それを実現するために色々な人がいて、その典型的な役割がNO.2としてのドラえもんなのかな、と思います。

私もタカラの時は、550~560億の売り上げがあって、1200~1300人の社員がいて、のび太くんだった時期がありました。その時は色々なドラえもんがいて、助けてもらったんですよ。今でも「自分で会社をやらないんですか?」と聞かれますが、もう自分でのび太くんをやるつもりは無いんです。理由は簡単で、自分がのび太くんをやると、1つの自分の夢しか追っかけられないから。今はおかげ様で、自分にとって、のび太くんが沢山いるんです。ドラえもんになって彼らの夢にお付き合いすると、自分では考えなかった夢とか、自分で出来そうな以上の夢とかにずっと付き合えるので、これはもう最高ですよ。

中谷:そんな佐藤さんにとって“働く”という事は?

佐藤:やっぱり人との出会いだと思います。僕らは芸術家じゃないので、一人で仕事をするという事は無くて、全部必ずチームやパートナーと行います。必ず誰かと組んでやるので、組んでやりたいと思う人と出会えるかどうかが最大のポイントですね。
やっぱりビジネスって、成功するかしないかで言えば、ほとんど成功しないんです。でも「また一緒にやりたい」って思える相手とやりたいですよね。

成功するには、数多くエントリーしないと成功しないので。ですから、一発勝負だったらほとんど全員失敗しちゃいますよ。それを99回ダメでも、100回目のチャンスがあるように、自分で設計していくかどうかが、成功するかどうかの最大の分かれ道になりますね。 1回目でたまたま成功したという人は、それが続くかどうかは、ちょっと疑問ですね。でもビジネスって、成功は偶然で、失敗は必然なんです。必然の中から学ぶという事は、失敗した方が良いという訳じゃないんですけど、普通は失敗する確率の方が高いので、その失敗の確率がどれだけ高くても、自分の中で許容出来るように準備していくかどうか。それがギャンブルと冒険の違いですから。
ビジネスはギャンブルでやったら成功するはずが無いので、いかに冒険という領域の所までコントロール出来るかどうかで決まるんです。と、30年くらい社会人やっていると俯瞰した意見になっちゃうんですけどね。(笑)

インタビュアー

インタビュアー感想談

どのお話も為になったのですが、子供の購買欲についてのお話が面白く、印象に残っています。佐藤さんのお話には思わず「なるほど」と納得させられる説得力があり、同時に“気づく”ということの大切さを教わりました。もっともっと色々なお話しを聞いていたかったです!