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藤本真佐さんインタビュープロカツ

  1. 嫌いだと思っている事をあえてやってみる!

嫌いだと思っている事をあえてやってみる!

渡邊:自分で仕事や会社を作っていく秘訣ってあるんですか?

藤本:あんまり、自分で決めてやっているって事は少なくて、大体人から誘われるのにフラフラっとついていく事が多いですよ。自分で言いだしてやった事は、少ないですが大体失敗しているんですよね。

会社も多分30社以上参加しているんですよ、だから表に出しているのは、たまたま上手く行ったモノで。プロフィールに、全部書く訳にはいかないので(笑)。

自分が社長でやったものは、そんなに沢山無いんですけど、役員だとか出資して立ちあげた会社は3~40社になります。その内の8割は失敗していますね。途中で会社を畳むとか、合併だとか、人に売却するとか。

渡邊:今までで印象的な失敗談はありますか?

藤本:失敗は沢山あるんですけど…。例えばウェブサイトの立ち上げが遅れて、1週間くらい帰れなくて死にそうになったとか。お金を回収できなくて、取りっぱぐれになって追いかけ回したとか。

渡邊:ちなみにそれは結果的に回収できたんですか?

藤本:1件は回収できましたね、それは1億。3億円の方は回収できませんでしたね、詐欺みたいな物ですよね。

渡邊:逆に今までで凄く達成感のあったプロジェクトは何ですか?

藤本:やっぱり一番は大学院を設立した時ですね。大学より大学院の方が先だったんですけど、大学院が2004年で、大学が2005年ですね。要は株式会社として日本で初めての大学院だったので、それも1年と3カ月で作りましたからね。初めて行政と関係する仕事だったので、要は、日本はお役所社会で「自由化されていないから良くないんだ」とか「日本の役所がおかしい」とかよく聞くじゃないですか。でも、その事がよく分からなかったんですよ、仕事をした事が無かったから。でも、初めて大学を作るという時に、大学設置基準法という、大学を作る時に色々とクリアしなければいけない法律が山のようにあることを知ったんです。

ほとんど教育の品質とはあんまり関係の無い事が大量にあって、それを全部クリアしていかなければいけないので、凄く大変だったんですよ。確信はあったものの、認可書を実際に手にするまでは、認可の前の1週間とかギリギリになるまで設立出来るかどうか不安だったんです。だから、あらゆる手をつくそうと思って、マスコミに取り上げてもらおうと働きかけをして、随分取り上げていただきました。「ガイアの夜明け」とかで特集を組まれたりとか。マスコミも初の試みを面白く思ったのでしょうね。山のように取材をしていただきました。

渡邊:藤本さんにとって"働く"という事は?

藤本:普通の人は、「仕事はやらなければいけないモノ」で、「やらされているモノ」と思っちゃうじゃないですか。僕は学生の頃、20種類くらいアルバイトをやったんですけど、結局ほとんど首になっちゃたんですよ、「もう来なくていいから」みたいな。という事もあって、「自分はあんまり集団生活に向いていないな」というのはずっと感じてたんですけど。結局、楽しい事はやりたいけど、やりたくない事はやりたくないっていうことに気がつきました。僕は楽しい事は他人の2倍パフォーマンス発揮するんですよ。だけど楽しくないと思ったら他人の2分の1も出来ないっていう性格で、多分これは他の人にとっても同じ事が言えますよね。

で、あまりにも嫌な事をやらされているのに耐えすぎちゃってて、逆に「自由だから何してもいいよ」って言われても出来無くなっちゃてる大人の人って凄く多い気がするんですね。なので、僕の場合はどちらかというと、いかに気持ち良く仕事出来るかっていうのを常に考えていて。そういう意味ではライフワークというか、「やらなければいけない」という義務感の対象では無いですね、少なくとも。その状態に上手く持っていけるようになったら凄く良いですよね。

渡邊:藤本さんのように、前向きに仕事に取り組めるコツってありますか?

藤本:最初はなんでもやってみる事だと思いますね。僕も自分がデジタルハリウッドという会社の設立に参加するとは、全く思っていなくて。だって、パソコンも学校も嫌いだった人がやる訳ないじゃないですか。だから先入観だけで嫌いだと思っていたり、嫌だと思っている事って、世の中凄い沢山あるじゃないですか。だけど実際にちょっとだけでも体験してみると、全然違ってくる事って多いですよね。

なので、なるべく自分の足でその現場を、一度でいいから一回でいいから体験してみるという事を、若いうちにいかに沢山やるかによって、自分のその後の生き方の幅が変わってくると思うので。多分行きたくない会社に行っちゃった人も、暫くは好き嫌いって考える前に、よく見るってことを沢山してみたら良いんじゃないかと思いますね。

渡邊:藤本さんが今大学生だったら、どんな就活をしますか?

藤本:今だったら商社かな。僕自身が海外関連の会社とか、エネルギーとか、そういう仕事をしたことが無いので、純粋に興味がありますね。まだまだ伸びる分野だし、お給料も良いですし(笑)。僕が思うのは、大学生が会社に入る時に会社の研究っていうのをほとんど知識が無い状態で入りますよね。

リクルートブックに書いてあったりだとか、先輩から多少聞くけど、聞く対象の先輩がそもそも2、3年目の人じゃないですか、OB訪問て。そもそもまだ社会の事を分かって無い人に聞いているので、実は本当に大事な事って聞けてないのではないかと思うのです。

だからOB訪問も、本当は4~50の人に聞かないとダメで。これは一例ですが、大手の商社だと40歳代でも部長クラスだと、年間で2~3000万は普通に貰えるんですよ。でも一般のメーカーだと7~1000万位ですよ、全社員の平均年収でも2倍以上差があります。

40歳以上だと下手したら5倍以上の差になります。生涯年収でも2~3倍違ってきて、一方5~8億で一方2~3億って話になるので。転職する人も多いとはいえ、一つの会社に長く居る人も沢山いる事を考えると、そういった情報も含めて、もっと学生達は企業のことを勉強した方がいいと思います。

渡邊:「こんな学生に入社して欲しい」という希望はありますか?

藤本:社長の増田自身は性格の事をよく言います。頭の良い人間よりも、心の良い人間を取ると。「心が良い人間の頭を良くする事は出来るけど、頭が良くて心の悪い人間の心を良くする事は難しい」というのが理由の1つですね。流通業でもあり、直営店のTSUTAYAのお店もあるので、3000人近くいる社員の約半分は、3~5年位は店舗に関する仕事をしているんです。

お店の運営やお客様やスタッフとしっかり向き合う仕事を3年位ちゃんとやれる人って、性格が良くて、忍耐強く頑張れる人じゃないと、なかなか難しいのだと思うのです。しかし、僕個人としては最近の会社としての全体のカラーは“草食系”になってきているのではと。これは課題でもあり、サラリーマンではなく自ら企画を立てて実行したりするような、肉食系に是非入社して欲しいと思っています。